KURASUMA

暮らしのTIPS

住み替えの際に売却益が出た場合は税金が発生する? 税制特例など住み替え前に知りたいお金の話を解説!

#学ぶ #マネー
 のイメージ
住み替えで“思わぬ利益”が出る時代

近年不動産価格の上昇により、購入時より高く売却できるケースが増えています。
国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)」によると、住宅価格は長期的な上昇傾向が続いています。特にマンション価格は大きく上昇しており、数年前に購入した住宅を売却した際に、想定以上の利益が出るケースも珍しくありません。
【出典】国土交通省「不動産価格指数(住宅)」

また、家族構成の変化や子どもの独立、転勤、在宅勤務の定着などをきっかけに住み替えを検討する方も増えています。
ただ購入時より高く売却できた場合、その利益に対して税金がかかる可能性があります。住み替えを成功させるためには、「いくらで売れるか」だけでなく、「税金はいくらかかるのか」についても事前に知っておくことが大切です。
さらには、税金だけでなくその先の資金計画も重要です。今回は住み替えについて税制も踏まえた資金計画について解説します。

※税制は法改正により変更される場合があります。また、特例の適用可否は個別事情によって異なります。具体的な適用については税理士等の専門家へご相談ください。

野村不動産ソリューションズ株式会社 進藤靖久

大手保険ショップ、独立系FP事務所を経て、現在野村不動産ソリューションズでセミナー講師や個別相談を担当。ライフプラン、住宅、資産形成などの相談の他、最近では相続・介護費を想定した老後ライフプラン、老後資産運用の相談も行い、相続専門の税理士や司法書士などの専門家と連携しながらコンサルティングを行う。
【保有資格】
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券外務員2種
【所属】野村不動産ソリューションズ株式会社 保険営業部

1.住み替えで利益が出ると何が起きる?

住まいを売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」と呼ばれ、一定の税金が発生する可能性があります。
譲渡所得は、単純に「売却価格=利益」ではありません。
計算式は次のようになります。
 
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
 
取得費とは購入時の価格や諸費用などを指し、譲渡費用は仲介手数料や売却時にかかった費用などです。
また、所有期間によって税率も異なります。
 
所有期間5年以下:短期譲渡所得(税率39.63%)
所有期間5年超:長期譲渡所得(税率20.315%)
所有期間10年超(売った年の1月1日時点で10年超の一定要件を満たす場合):
   長期譲渡所得6,000万円まで(税率14.21%)
   長期譲渡所得6,000万円超(税率20.315%)
 
一般的には長期譲渡所得の方が税率は低くなります。
住み替えを検討する際は、まず「いくらで売れるか」を把握することが重要です。安心できる不動産の専門家に査定を依頼することで、より現実的な売却価格を把握しやすくなります。
また、居住していた不動産の購入価格を証明する書類が必要です。もし書類がない場合は、先述の取得費を証明できないため、「売却価格の5%」しか計上できません。言い方を変えると売却価格の95%が利益(譲渡所得)となり、税負担が増える可能性がありますので、注意が必要です。

2.まず知っておきたい節税策「3,000万円特別控除」とは?

マイホームの売却で知っておくべき制度として、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(以下「3,000万円特別控除」)があります。
マイホーム(居住用財産)を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
先述の通り近年は不動産価格の上昇により購入時より高く売却できるケースも増えていますが、この特例を活用することで、多くの場合は譲渡所得税が発生しないケースもあります。
ただし、次の章で解説しますが、「3,000万円特別控除」を利用すると一定期間は新しい住居の住宅ローン控除を併用できないルールがあるので注意が必要です。
 
「3,000万円特別控除」の概要は以下の通りです。
詳細は、国税庁サイト「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご参照ください。
 
<主な適用要件>
売却する不動産が自宅(居住用財産)であること
対象の自宅を住まなくなってから3年後の年末までに売却すること
親子や夫婦などの特別な関係者への売却ではないこと
前年・前々年に同じ特例を使っていないこと
 
<メリット>
譲渡所得から最大3,000万円を控除できる
売却益が3,000万円以下であれば税金が発生しない可能性が高い
所有期間の長短に関係なく利用できる
住み替え時の自己資金を確保しやすくなる
 
<デメリット>
新居の住宅ローン控除と併用できない
買換え特例との併用はできない
「3,000万円特別控除」を利用する際は確定申告が必要
一度利用すると、その後一定期間は再度利用できない場合がある
 
<共有名義の場合>
意外と知られていませんが、夫婦共有名義の場合は大きなメリットがあります。
夫婦それぞれが要件を満たせば、各自が3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。そのため、夫婦それぞれに譲渡所得が発生しているケースでは、合計6,000万円まで控除できる場合があります。
 
<向いている人>
売却益が3,000万円以下の人
マイホーム売却時の税負担を抑えたい人(住み換え住居の支払いに充てたいなど)
買換え特例よりシンプルな制度を利用したい人
住み替え後の住宅ローン借入額が比較的小さい人
共有名義で売却し、大きな譲渡益が見込まれる人

3.住み替えで迷うポイント「3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」

住み替えを検討する際、多くの方が悩むのが、「売却時の3,000万円特別控除を使うべきか?」、「新居購入後の住宅ローン控除を利用するべきか?」という点です。
新居では住宅ローン控除を受けたい一方で、現在の住まいの売却では3,000万円特別控除も利用したいというケースは少なくありません。
3,000万特別控除も住宅ローン控除も両方の制度を利用することはできないため、どちらを選ぶかは次のケースを参考にすると良いでしょう。
 
ケース売却益が小さい場合
売却益がそれほど大きくない場合は、将来受けられる住宅ローン控除の方が有利になる場合があります。
 
ケース売却益が大きい場合
譲渡所得が大きく発生する場合は、3,000万円特別控除の節税効果が大きくなる可能性があります。
 
ケースペアローンを利用している場合
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることもあるため、夫婦それぞれどちらが有利かを比較することが重要です。制度だけを見ると判断が難しいため、後述のライフプランを活用しながら検討することが望ましいでしょう。

4.税金を将来に繰り延べる「買換え特例」

マイホームを売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、本来であれば譲渡所得税や住民税を納める必要があります。
しかし、一定の要件を満たして住み替えを行う場合は、「特定の居住用財産の買換えの特例」(以下「買換え特例」)を利用できる可能性があります。
この制度は税金を免除する制度ではなく、課税される時期を将来へ先送りする制度です。
例えば、自宅を8,000万円で売却して取得費や譲渡費用が4,000万円の場合、利益(譲渡所得)は4,000万円です。
本来であればその利益に課税されますが、「買換え特例」を利用すると課税が将来に繰り延べられます。そして将来、住み替えた住宅を売却する際に、その利益も含めて課税される金額が計算される仕組みです。
もし住み替えた住宅を売却してさらに利益(譲渡所得)が出た場合は、繰り延べした譲渡所得を合算して課税されます。
一方で、住み替えた住宅を売却して損失が出た場合も、住み替え時の繰り延べた譲渡所得を合算されることになります。
「買換え特例」を利用する場合は、上記の点を踏まえて検討すると良いでしょう。
 
「買換え特例」の概要は以下の通りです。
詳細は、国税庁サイト「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」をご参照ください。
 
<主な適用要件>
居住期間10年以上、かつ売った年の1月1日において所有期間10年超
売却価格1億円以下
住み替える住宅の床面積50㎡以上
一定期間内の売却・購入
日本国内の居住用財産であること
 
<メリット>
住み替え時の納税資金を抑えられる(住み替え住居の支払いに充てられるなど)
売却益が大きいほど効果が高い
頭金や教育資金など当面の資金を確保しやすい
 
住み替え時は、引越費用・仲介手数料・登記費用・不動産取得税など様々な支出が発生します。
そのため、納税を先送りできることで、支出を工面できることを考えるとメリットは小さくありません。
 
<デメリット>
非課税ではない
将来売却時に課税が引き継がれる
制度が複雑で有利不利の判断が難しい
住宅ローン控除との比較が必要
贈与や相続で取得した場合も繰り延べた譲渡所得は引き継がれる
 
<向いている人>
売却益が3,000万円を大きく超える人
長期間住んだ住宅を売却する人
住み替え時に手元資金を残したい人
新居取得費用の負担が大きい人

5.住み替えは“ライフプラン”で考える
「税金だけでなく全体最適が重要」

住み替えでは、資金面を考えるのに税金を減らすことは重要ですが、節税だけが目的ではありません。
重要なのは、その先も安心して生活できるための資金計画を立てることです。そのために、住み替え先の資金面はどのように推移するのか、ライフプランを作成することが重要です。
 
また、住み替えを検討するにあたり、実際には「先に買うか」「先に売るか」によっても、必要な資金やリスクが大きく変わります。
 
先に買う場合は、希望条件の住宅を探しやすく、仮住まいも不要で引越しも1回で済みます。
一方で、新旧の住宅でダブルローンとなったり、固定資産税や管理費・修繕積立金が重複したりするなど、売却が終わるまで二重の負担が発生する可能性があります。
 
反対に、先に売る場合は、売却資金を新居購入資金に充てられることや、資金計画を立てやすいことが
メリットですが、仮住まい費用や引越費用が2回かかる可能性があり、購入して入居するまでの負担も生じます。
 
大切なのは、
住み替え後も無理なく住宅ローンを返済できるか
教育費や老後資金を確保できるか
手元資金に余裕を持てるか
という視点です。
 
ライフプランを作成すると将来の資金計画がはっきりと見える化でき、先述の税制特例も判断できるようになります。
ライフプランでは住み替えのタイミングだけではなく、老後まで見据えた資金計画を立てることも可能です。ポイントは以下の通りです。
 
<ライフプランで確認できる金額>
売却予定価格や売却時の住宅ローン残債
新居の購入予算や新しい住宅ローン返済額
購入が先か売却が先かで発生する支出
教育費・老後資金(退職後の年金など)
手元資金の推移
運用した際のシミュレーション
繰上返済のシミュレーション
 
<税制特例は比較検討が重要>
ライフプランでは、売却時の税金シミュレーションも可能です。
3,000万円特別控除
買換え特例
住宅ローン控除
先述した制度は、どれが有利なのかは人によって異なります。
例えば、年齢や家族構成も影響しますし、売却益が大きい人、ペアローンを利用している人、新たに大きな住宅ローンを組む人では、選ぶべき制度が変わる可能性があります。
そのため、制度のことだけを考えるのではなく、ライフプランを通じて将来の家計全体への影響を確認することが重要です。
 
<税金だけで判断しないことが大切>
住み替えで失敗しないためには、「税金が少ない選択」ではなく、「将来も安心して暮らせる選択」をすることが大切です。
税金、住宅ローン、教育費、老後資金まで含めて確認することで、住み替え後の家計の見通しが立てやすくなります。

6.住み替え成功のカギは事前設計

近年は不動産価格の上昇により、購入時より高く売却できるケースも増えており、住み替え時に譲渡所得税が発生する可能性があります。そのため、売却を検討する際は、3,000万円特別控除や買換え特例などの制度を理解しておくことが大切です。
 
また、住み替えでは税制だけでなく、
新居購入が先の場合(ダブルローンのリスク)
ご自宅売却が先の場合(仮住まいなどの費用)
住宅ローンの借入額
なども資金計画に大きく影響します。
 
だからこそ、「いくらで売れるか」だけでなく、「最終的にいくら手元に残るのか」という視点でライフプランを作成しながら検討するとよいでしょう。


手軽にシミュレーションしたい方向け「ライフプランシミュレーション」

かんたん入力、約3分!あなただけのアドバイスもご提供いたします。結果保存も可能です。



しっかりとシミュレーションをしたい方向け「ファイナンシャルプランニングサービス」

・当コラムを執筆しているFPが無料でライフプランを作成
・専用ソフトで作成するので最新の税制を反映(一部反映できない場合があります)
・転職や住み換えした場合どうなるのか、想定パターンのライフプラン作成も可能
・作成したライフプランはメールで受け取ることが可能
ライフプラン作成を依頼

※ログインが必要です。
 

住み替えのご相談は「野村の仲介プラス」

住み替えの進め方については、不動産の専門家に相談することで、適正な売却価格の査定だけでなく、先に新居を購入する場合と先にご自宅を売却する場合のどちらが適しているか、現在の市場環境も踏まえたアドバイスを受けることができます。エリアやお住いの特性を踏まえた上で、多面的な販売戦略を行います。サポートメニューも充実していますので、お気軽にご相談ください。
野村不動産グループカスタマークラブ会員の方は、「野村の仲介プラス」をご利用いただくと、会員特典として仲介不動産売却時に仲介手数料(税抜)が18%割引となります。
ご売却相談

※ログインが必要です。

ファイナンシャルプランニングサービス

野村不動産ソリューションズおよび野村不動産ソリューションズ提携先のファイナンシャルプランナーに無料でご相談いただけます。
土・日・祝日でもご相談可能。ご自宅などご希望の場所にお伺いします。WEB面談も対応しておりますのでぜひお気軽にご相談ください。

関連コラム