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まちと学ぶと、まちの未来が変わる。野村不動産が仕掛ける、地域教育の新しいかたち

#学ぶ #コミュニティ #まちづくり
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野村不動産は、多様なコミュニティの形成や活性化が地域の価値を高めるという考えのもと、より良いまちづくりにつながる取り組みを推進してきました。その一環として誕生したのが、まちを学びの舞台とした新しい教育プログラム「まちとまなぶ」です。「まちとまなぶ」には現在3つの公開プログラムがあり、その一つひとつが全国の地域や小学校で好評を博し、グッドデザイン賞も受賞しています。「まちとまなぶ」は地域の人々にどのような学びや価値を提供してくれるのか、事業創発本部エリアマネジメント部の横川さん、大江さんの両名に話を聞きました。

横川 大悟

横川 大悟

事業創発本部エリアマネジメント部推進二課主任。法人向けの不動産売買仲介業務を経験後、2023年より現職。エリアマネジメント活動の一環として、教育プログラムの開発や普及に注力している。
大江 健人

大江 健人

事業創発本部エリアマネジメント部推進一課(2026年2月取材時)。2024年からエリアマネジメントに携わる。現在は地域に開かれたコミュニティスペースの開発と、教育プログラムの開発に取り組んでいる。

全国に広がりを見せる「まちとまなぶ」という取り組み。

「『まちとまなぶ』には現在、『まちをみるめ』『まちおに』そして『推しの木』という3つの公開プログラムがあります。もともとはそれぞれが独立した教育プログラムとして存在しており、個々の評価も高かったのですが、それらの実績を公開できる場所がありませんでした。そこで『まちが舞台の教育プログラム』というコンセプトのもとプログラムを集約することを決め、『まちとまなぶ』という名前やホームページが誕生したのです」

「まちをみるめ」実施の様子。他者になりきってまちを観察するユニークなプログラム。

「まちとまなぶ」という枠組みが完成してから、都内のほかに千葉県や石川県、富山県など、さまざまな地域の行政や小学校から問い合わせが増えたと横川さんは言います。「石川県の小学校の事例では、『まちを知る』『まちの人と関わる』という授業の単元があり、私たちの教育プログラムが活用できると感じていただけたようでした。また、先生の口コミや自然検索からのアクセスなども増えており、ホームページを公開した成果を実感しているところです」



そして「まちとまなぶ」をつくるにあたって、特にこだわったのが「誰でも自由に実施できるようにすること」だったと続けます。

「それまでは弊社の社員が依頼主のところに伺い、プログラムを実施する必要がありました。そのため、都心から離れたエリアでの実施は容易ではありませんでした。そこでホームページ上で教材をダウンロードできるようにし、かつ自由に活用・アレンジできる内容とすることで、全国どこででも実施できる仕組みを構築したのです」

まちへの愛着が地域の未来を明るくする。

どうして今、住んでいるまちについて学ぶ必要があるのでしょうか。この問いに対して、大江さんは「地域活動の担い手不足という課題を解決するため」だと答えてくれました。

「近年は地域住民同士のつながりが薄くなっており、高齢化も進んだ結果、地域活動の担い手が少なくなってしまいました。こうした状況だからこそ、私たちエリアマネジメント部がアプローチして、地域を盛り上げていかなくてはなりません。そのためには、まちの未来を担う子どもたちに、自分たちが暮らすまちのことをもっと知ってもらい、愛着を持ってもらうことが大切だと考えています」



横川さんは「コミュニティづくりという観点からも、まちのことを学ぶメリットはたくさんあります」と続けます。

「まちへの愛着が生まれることで、より良いまちづくりを考えるときや災害に見舞われたときに、『助け合えるコミュニティをつくろう』という意識が芽生えます。こうしたコミュニティが生まれることは、防災や防犯という観点でもメリットがあると考えています」

産学連携による新たな学びの創出。

2022年、野村不動産のエリアマネジメント活動の一つである「Be ACTO武蔵浦和」で、埼玉大学と協働で新しい教育プログラムをつくる動きが始まりました。そこに2023年から横川さん、2024年からは大江さんも関わるようになります。

「埼玉大学と協議をする中で、木材を専門領域とする教授に我々の活動へ関心を持っていただいたことで、『木材×まち×教育』という切り口での教育プログラムづくりがスタートしました。ちょうどその頃、世の中では『推し活』という言葉が広がりを見せていました。そこで『推し』という概念と『木』を組み合わせるというアイデアが生まれ、『推しの木』というプログラムの骨子ができあがったのです」



推しの木は完成までに約2年の月日を要したと話す横川さん。「学生のみなさんと議論を重ねながらプログラムをつくり、小学校でプレ授業を実施しながらブラッシュアップしていきました。子どもが楽しめるようなデザインにもこだわりましたね」と当時の様子を振り返ります。

「木を推す」というユニークな学びの体験。

プログラムは主に「ガイダンス」「フィールドワーク」「まとめと表現」「発表と振り返り」「展示やイベントの開催」で構成され、授業時間としては6~9コマ、おおよそ1~2ヶ月での実施を推奨しています。対象となるのは主に小学校3~4年生。これは、この学年の指導要領の中に「まちを知る」「まちを探検する」などが含まれているからだそうです。

「ガイダンスでは『わかりやすく伝えること』を大切にしてきました。いきなり「推しの木」を探すのは、大人でも難しいと思います。そこでまずは『推しとは何か』という話からスタートし、そのうえで世の中にはどんな木があるのかを説明する時間を設けています。たとえば『この木のこの部分は顔に見えるよね』『この木はちょっと斜めになってるのが特徴的かも』など、木によっていろんな見え方があることを事例とともに伝えます。すると、子どもたちの木に対する考え方や接し方も変わってくるのです」



ガイダンスが終わると、まずは学校内で、その後宿題として学校外の「推しの木」を探してもらう時間があります。それから見つけた木のどういったところが推しポイントなのか、その木にどんな名前をつけるのかなどを「応援うちわ」にまとめてもらい、全員の前で発表を行います。





子どもたち一人ひとりの個性も見えてきます。「板橋区の小学校の近くには樹齢200年を超えるような大きな木があり、それを推しにしている子どもは多かったのですが、一人ひとり注目ポイントが違っているのが面白かったです。また、ボールがよく引っかかる木に注目した子どもがいたのですが、すぐにボールが落ちてくるから『壊れかけのグローブ』と名付けていて、そのネーミングセンスには感心しました」と二人は振り返ります。

発表終了後は、その推しを数十年先も守っていくために何が必要なのかを考える時間も設けられています。この時間が、推しへの愛着を育み、まちの未来に視点を伸ばす機会になっています。

地域ごとに個性がある推しとの向き合い方。

地域や学校ごとにアウトプットの個性がまったく異なることも、「推しの木」のユニークなポイントだと言います。

「都内の小学校と、普段から木々がそばにある山間部の小学校では、子どもたちの木に対する理解度や感情がまったく異なりました。また、『推しの木』もプログラムの基本フォーマットは存在しますが、自由にアレンジできる柔軟性も備えています。何度も『推しの木』を実施してくれている学校では、応援うちわではなくスライドでまとめるなど、その地域独自の新しい試みも始まっていますね」

学校内の授業のみで終わらず、地域住民との交流のきっかけとなるイベントや展示会の実施例もあります。



「板橋区の小学校で取り組んだときは、子どもたちがつくったまちの推しスポットを区役所に展示するという活動も生まれました。このイベントを通じて、普段は交わる機会のない子どもと高齢者がつながるなど、地域の中での交流が広がりました」

見る目が変わり、行動が変わり、未来が変わる。

プログラムに取り組んだ子どもたちに、変化は見られたのでしょうか。また、教育現場を預かる先生たちからは、どのような感想があがったのでしょうか。

「木はどこにでも存在するものなので、普段から意識する機会はなかったと思います。しかし『推しの木』を経験した結果、木に注目するようになった子どもは多くなりました。すると、いつもと同じ風景でも見え方が変わってくるものですし、そこからまちに対する愛着も湧いてくるものだと期待しています。また、先生たちからも『自分たちでは気づかなかったまちの魅力を、子どもたちの視点を通じて知ることができてよかった』『子どもたちが楽しそうに自主的に参加してくれているのが嬉しい』という感想をいただいています」

実際に子どもたちの行動が変化した事例も生まれています。

「まちへの興味が湧いたことで、子どもたちが自主的に地域の清掃活動に取り組んでくれたのです。私たちの活動にはたしかに意義があったのだと、嬉しい気持ちになりましたね」



最後に、今後の改善点や挑戦したいことについて聞きました。

「プログラムの満足度は非常に高いのですが、実施するまでは少しイメージがしづらい点が課題だと思っているので、もっとわかりやすく楽しさをアピールできればと考えています。また、現在は新しい教育プログラムの開発にも取り組んでいるので、早く公開できるように尽力したいですね」

まちに出て、まちのことを知る。愛着を持てるものと出会う。その行動が、暮らしとまちの未来をより良いものに変えてくれるのかもしれません。

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